2013年1月4日金曜日

雇用促進税制

                                            雇用促進税制について
 

平成23年度の税制改正で雇用促進税制なる制度が出来ました。従業員を採用すると税額控除が受けられる制度について解説します。

A.
 平成23年度税制改正の目玉でもあった法人税・所得税の雇用促進税制ですが、この制度、要件を満たせば増加した従業員1人あたり20万円の税額控除が受けられるというものです。

 適用要件等は以下の通りです。
1)青色申告書を提出する事業主であること。

2)当期末の雇用者の数が前期末の雇用者の数に比して5人以上(資本金1億円
  以下等の中小企業者等は2人以上)増加し、かつ雇用増加割合(※)が10%
  以上増加していること(前期末の雇用者が0人の場合は、5人(中小企業者は
  2人)以上の増加だけでOK)。

3)前期及び当期に事業主都合の退職者がいないこと(自己都合の退職はOK)

4)「適用を受ける期の雇用者への給与等支給額」≧「前期の雇用者への給与等
  支給額 + (前期の雇用者への給与等支給額×雇用増加割合(※)×30%)」で
  あること

5)風俗営業等を営む事業主でないこと

6)適用期間は法人が平成23年4月1日~平成26年3月31日までの期間内に始まる事業年度、個人は平成24年1月1日~平成26年12月31日までの各暦年

※雇用増加割合=適用年度の雇用増加数÷前期末雇用者数
※雇用者とは法人又は個人事業主の使用人のうち雇用保険一般被保険者をいい、ハローワークを活用しない方法で雇い入れた場合も対象となりますが、役員の親族等の特殊関係者は除かれます。
※新設法人の設立事業年度や個人事業者の開業初年度はこの規定の適用を受けることができません。


判定例)
・青色申告法人である中小企業。
・前期給与支給額1000万、当期給与支給額1200万
・前期末従業員数5人、当期末従業員数7人(2人増加)
1)増加人員2人≧2人
2)雇用増加割合40%(=2人÷5人)≧10% 
3)給与増加額の判定1200万円≧1000万+1000万×40%×30%=11,200,000円
 ∴適用あり。
2人×20万円=40万円の税額控除(当期の法人税額の10%(中小企業は20%)が
  限度)


適用を受けるための手続きですが、以下の流れとなっています。
1)事業年度等開始後2ヶ月以内にハローワークに「雇用促進計画-1」、
  「雇用促進計 画-2」を提出して「雇用促進計画-1」に受付印をもらう。

2)事業年度終了後2ヶ月以内(個人は3/15まで)に、労働局又はハローワークで
  雇用促進計画の達成状況の確認を受ける。( 1)で受付印をもらった
  「雇用促進計画-1」の提出)

3)労働局又はハローワークが達成状況を確認した上で「雇用促進計画-1」を返送。
4)達成状況の確認を受けた「雇用促進計画-1」の写しを法人税・所得税の
  確定申告書に添付して税額控除の適用を受ける。

「雇用促進計画-1」は手続きで何度も必要になりますので、受付印をもらった後、紛失しないように注意が必要です。また2)、3)のハローワーク等での確認作業は確認を求めてから返送まで2週間~1ヶ月ほど時間がかかるようですので、早めに手続きをするようにして下さい。

提出する書類自体は合併等の組織再編がなければ「雇用促進計画-1」、「雇用促進計画-2」だけで、記載内容もそう多くはありません。

制度の詳細を説明したURLはこちら
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/koyousokushinzei.html
(厚生労働省HP:「雇用促進計画-1」、「雇用促進計画-2」の様式もあります)
受けられるか受けられないかは事業年度が終ってみなければ分からない(赤字だったとか、事業主都合の退職者が出たとか、計画通り採用できなかったとか)のですが、最初の計画提出をしていなければ適用の可能性自体が無くなってしまいますので、新規採用を計画している事業主の方は忘れずに提出するようにして下さい。