2013年7月3日水曜日

相続、贈与における会社の不動産評価

おはようございます。

中小企業の社長が亡くなった場合、この株式も相続財産となり、
その評価額がいくらになるのか重要な問題となります。

事業承継を考え、株式を贈与する場合も同じです。

特に、会社で不動産を所有している場合、その評価額によっては
株価が大きく変動するので、これは重要な問題となります。

ちなみに、土地は路線価、建物は固定資産税評価額をベースに計算するのが原則的な計算方法です。

ただし、相続、または、贈与の発生前3年以内に 「会社が」取得した土地、
家屋、附属設備、構築物の評価額は特別な取扱いがあります。

※ 会社が取得した土地等の評価の話です(個人は 関係なし)。

この場合、下記の評価方法となっています。

1、相続、または、贈与の日における「通常の取引 価額」により評価する

2、これらの帳簿価額が相続、または、贈与の日に おける

「通常の取引価額」である場合、帳簿価額を評価額とすることができる

よって、相続、または、贈与の日前3年以内に会社が取得した土地等は
帳簿価額そのままで評価されていることも多いのです。

しかし、これは

○ 「帳簿価額 = 通常の取引価額」であるという前提

○ 上記2の末尾は「できる」という表現になっている

つまり、帳簿価額が絶対的な評価方法である訳ではありません。

これについて争われた裁決があります(平成10年 6月5日)。

この事例では相続開始前3年以内に会社が取得した建物の評価につき、
争われ、双方の主張、国税不服審判所の判断は下記 となりました。

○ 納税者:建物の評価額を1億6,022万円と して申告(鑑定評価)

○ 税務署:減価償却後の帳簿価額2億6,189 万円が正当として否認

○ 審判所:バブル期に取得された建物なので、2 億1,447万円と評価

結果として、納税者が行った鑑定評価額よりは高いものの、

帳簿価額よりも4,742万円も下がりました。

いかがでしょうか?

また、バブル当時に購入したものでなくても、帳簿価額よりも時価が低くなっているものは沢山あります。

だから、これらを不動産鑑定による評価額で評価して、
相続税、または、贈与税の申告で採用していくことは、非常に重要なことなのです。

ちなみに、税制改正により、

○ 相続税の還付請求は相続開始日から5年10か 月以内

○ 贈与税の還付請求は贈与した翌年3/15から6 年以内

が期限となっています。

だから、この期限内にいる方は是非、土地等の評価額を見直し、
還付請求の可能性を検討してみてください。

また、これから申告する方は単純に帳簿価額を採用 するのではなく、
不動産鑑定の採用も検討してみてください。