2016年12月2日金曜日

(フォーム・書式・ひな形)委任契約及び任意後見契約書

委任契約及び任意後見契約書です。
 
 
委任者●●●●(以下「甲」という。)は、●●●●(以下「乙」という。)を受任者として、甲乙間で次のとおり、第1編において委任契約(以下「本委任契約」という。)及び第2編において任意後見契約(以下「本任意後見契約」という。)を締結した。

 

 

第1編 委任契約

 

(目的)

第1条 甲は、乙に対して甲の生活、療養看護及び財産管理に関する事務を委任し、乙はこれを受任する。


 


(任意後見契約との関係)

第2条 本委任契約締結後、甲が任意後見契約に関する法律第4条第1項で定められる、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況となったときは、乙は、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任を請求しなければならない。

2)本委任契約は、前項で定める任意後見監督人が選任され、第2編の任意後見契約が効力を生じたときに終了するものとする。

 

(委任事務の範囲)

第3条 甲は乙に対し、後記「代理権目録」記載の委任事務(以下「本件委任事務」という。)を委任し、その事務処理のための代理権を与えるものとする。

2)乙は、甲の身上に十分配慮し適宜甲と面接するとともに、介護ヘルパー及び日常生活の援助者等から甲の生活状況について報告を求めるものとする。また、担当医師及び他の医療関係者等から甲の心身の状態について説明を受けることなどにより、甲の健康状態の把握に努めるものとする。

 

(委任事務の開始)

第4条 本件委任事務は、本委任契約の締結と同時に開始するものとする。

 

(証書類の引渡し等)

第5条 甲は乙に対し、本件委任事務の処理に必要と認める範囲で、次の証書類を引き渡すものとする。

(1)実印

(2)銀行印

(3)印鑑登録カード

(4)住民登録カード

(5)預貯金通帳

(6)年金関係書類

(7)各種キャッシュカード

(8)有価証券及びその預かり証

(9)不動産賃貸借契約等の重要な契約書類

10)その他本件委任事務の処理に必要な一切の書類

2)乙は、前項の証書類の引渡しを受けた都度、甲に対し預り証を交付し、厳重に保管するとともに、本件委任事務処理のために使用することができるものとする。

3)乙は、本委任契約の効力発生後、甲以外の者が第1項記載の証書類を所持しているときは、その者から引渡しを受けて保管するものとする。

 

(諸費用の負担)

第6条 乙が本件委任事務を処理するために必要な費用は甲の負担とし、乙はその管理する甲の財産からこれを支出するものとする。

 

(報酬)

第7条 甲は乙に対し、本件委任事務処理に対する報酬として毎月●日限り金●●万円を支払うものとし、乙はその管理する甲の財産から支払を受けるものとする。

 

(報告)

第8条 乙は甲に対し、●ヶ月ごとに、本件委任事務処理の状況につき報告書を提出するものとする。

2)甲は乙に対し、随時、本件委任事務処理状況の報告を求めることができるものとする。

 

(契約の変更)

第9条 本委任契約に定める代理権の範囲を変更する契約は、公正証書により行うものとする。

 

(契約の解除)

10条 甲及び乙は、いつでも本委任契約を解除することができるものとする。ただし、契約解除の申出は、公証人の認証を受けた書面によってしなければならない。

 

 

(契約の終了)

11条 本委任契約は、第2条第2項に定める場合のほか、次の場合に終了するものとする。

(1)甲または乙が死亡し、または破産手続開始決定を受けたとき。

(2)乙が後見開始の審判を受けたとき。

 

 

第2編 任意後見契約

 

(目的)

第1条 甲は、乙に対し、任意後見契約に関する法律に基づき、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における甲の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務(以下「後見事務」という。)を委任し、乙はこれを受任する。

 

(契約の効力発生時期)

第2条 本任意後見契約は、甲について任意後見監督人が選任された時からその効力を生じる。

 

(任意後見監督人の選任の申立て)

第3条 本任意後見契約締結後、甲が任意後見契約に関する法律第4条第1項所定の要件に該当する状況となり、乙が本任意後見契約による後見事務を行うことが相当と認めたときは、乙は、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任を請求するものとする。

 

(法律関係)

第4条 本任意後見契約締結後における甲乙間の法律関係については、本任意後見契約に定めるもののほか、任意後見契約に関する法律及び民法その他の法令の定めによるものとする。

 

(委任事務の範囲)

第5条 甲は、乙に対し、後記代理権目録記載の後見事務(以下「本件後見事務」という。)を委任し、当該事務処理に必要な代理権を授与するものとする。

 

(配慮義務等)

第6条 乙は、本件後見事務を処理するに当たっては、甲の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況を配慮し適宜以下の事項を行うものとする。

(1)甲と面接すること

(2)甲の介護者その他の日常生活の援助者との連絡

(3)甲の担当医師及び医療関係者等との連絡

 

(財産目録等の作成)

第7条 乙は、本任意後見契約の効力発生後、遅滞なく、以下の書面を作成し、任意後見監督人に交付するものとする。

(1)甲の財産の目録

(2)本件後見事務の処理のために毎年支出すべき金額の予定を記載した支出金の予定表

2)乙は、事情の変更により、前項第2号の支出金の予定表を変更する必要が生じた場合は、改めて支出金の予定表を作成し、任意後見監督人に交付するものとする。

 

(証書類の引渡し)

第8条 乙は、甲から本件後見事務の処理のために預貯金通帳、有価証券、登記済権利証、年金関係証書、契約書等の証書類、実印・銀行印等の印鑑類、印鑑登録カード、キャッシュカードその他これに類するもの(以下「証書類」という。)の引渡しを受けることが必要と認めたときは、甲に対しその引渡しを請求し、甲はこれに応じるものとする。

2)乙は、本任意後見契約の効力発生後甲以外の者が証書類を占有保持しているときは、その者から当該証書類の引渡しを受けることができるものとする。

3)乙は、本条第1項及び第2項により証書類の預託を受けたときは、甲に対し、その明細及び保管方法を記載した預り証を交付するとともに、3ヶ月毎に書面で管理状況を甲に報告するものとする。

4)乙は、本条第1項及び第2項の規定により引渡しを受けた証書類を善良な管理者の注意をもって保管しなければならない。

 

(費用負担)

第9条 乙が本件後見事務を処理するために必要とする費用は、甲の負担とする。

2)乙は、自己が管理する甲の財産から前項の費用を支出することができる。

 

(報酬)

10条 甲は乙に対し、本件後見事務の報酬として、毎月●日限り金円の報酬を支払うものとする。

2)乙は、自己の管理する甲の財産の中から、前項の報酬を直接受領することができる。

3)甲の生活状況・健康状態や経済状況の変化等により、本条第1項に定める報酬額が不相当となった場合、甲及び乙は、任意後見監督人と協議してその金額を変更する。ただし、甲がその意思を表明できないとき、乙は任意後見監督人の同意を得てその金額を変更できるものとする。

4)前項に定める報酬額の変更は公正証書によるものとする。

 

(報告)

11条 乙は、任意後見監督人に対し、6ヶ月ごとに本件後見事務に関する以下の事項について書面で報告するものとする。

(1)甲の生活状況

(2)乙の管理する財産の管理状況

(3)甲の医療、介護及び日常生活の援助に関して行った措置

(4)費用の支出及び使用の状況

(5)報酬の収受

2)乙は、任意後見監督人の請求があるときは、いつでも速やかにその該当事項につき報告するものとする。

 

(後見開始の審判等の申立て)

12条 乙は、後見開始、保佐開始または補助開始の審判を受けることが甲の利益のため特に必要であると認めるときは、これらの審判の申立てをするものとする。

2)乙が前項の申立てをするために必要な費用は、甲の負担とし、乙は、その管理する甲の財産からこれを支出することができるものとする。

 

(契約の解除)

13条 甲及び乙は、任意後見監督人選任前はいつでも公証人の認証を受けた書面をもって本任意後見契約を解除できるものとする。

2)甲及び乙は、任意後見監督人選任後は正当な事由ある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て本任意後見契約を解除できるものとする。

3)本条第1項または第2項による解除があったときは、乙は、その保管する甲の証書類を直ちに甲に返還するとともに、甲に対して事務処理の報告を行うものとする。

 

(契約の終了)

14条 本任意後見契約は、以下の事由が生じた場合は終了するものとする。

(1)甲または乙が死亡または破産したとき

(2)甲が後見開始、保佐開始または補助開始の審判を受けたとき

(3)乙が後見開始の審判を受けたとき

2)任意後見監督人が選任された後に前項各号の事由が生じた場合、甲または乙は、速やかにその旨を任意後見監督人に通知するものとする。

3)乙は、乙が第8条第1項または第2項の規定により甲または甲以外の者から証書類の預託を受けた後に本条第1項の規定により本任意後見契約が終了したときは、甲または甲があらかじめ指定した者に当該証書類を引き渡さなければならない。ただし、同項第2号の場合であって、甲について成年後見人が選任されたときは、当該成年後見人に当該証書類を引き渡すものとする。

 

(死後の事務処理に関する特約)

15条 甲は、乙に対し甲の死後の以下の事項を委任するものとする。

(1)甲の生前に発生した乙の本件後見事務に関わる債務の弁済及び債権の回収

(2)甲の葬儀及び埋葬の手続きに関する事項

(3)相続財産管理人の選任申立て手続

 

以上のとおり、本委任契約及び本任意後見契約の成立を証するために、本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。

 

平成●●●●●●

 

住所 ●●県●●市●●町●●丁目●●番●●号

委任者(甲)氏名  ●●●●  印

 

住所 ●●県●●市●●町●●丁目●●番●●号

受任者(乙)氏名  ●●●●  印


【代 理 権 目 録】

 

1.受任者●●●●が任意後見監督人に交付する委任者●●●●の財産目録記載の財産及び前記目録交付後に委任者●●●●に帰属する財産並びにその果実(以下「管理財産」という。)の管理、保存、処分及び変更

2.委任者●●●●に帰属する預貯金に関する取引その他金融機関との取引

3.定期または臨時の収入の受領及び定期または臨時の支出を要する費用の支払並びにこれらに関する諸手続

4.生活費の送金

5.物品の購入

6.遺産分割または相続の承認及び放棄、贈与若しくは遺贈の拒絶または負担付の贈与若しくは遺贈の受諾、寄与分を定める申立て並びに遺留分減殺の請求

7.保険契約の締結、変更、解除並びに保険金の受領

8.証書類(管理財産に含まれるものを除く。)の保管及び事項処理に必要な範囲内の使用

9.登記及び供託の申請

10. 住民票、戸籍謄抄本、登記事項証明書その他の行政機関の発行する証明書の請求

11. 税務申告及び税金等の納付

12. 要介護認定の申請及び認定に関する承認並びに福祉に関する措置の申請

13. 介護契約その他の福祉サービスの利用に関する契約の締結、変更及び解除

14. 住居の確保及び良好な状態の維持に関する契約の締結、変更及び解除

15. 医療に関する契約の締結、変更及び解除

16. 行政機関に対する不服申立て及びその手続の追行

17. 裁判外の和解及び仲裁契約の締結並びに訴訟行為及び民事訴訟法第55条第2項の特別授権事項についての弁護士に対する授権

18. 復代理人の選任及び事務代行者の指定

19. 以上の各事項に関連する一切の事項