2013年2月20日水曜日

事業所得か、雑所得か

アフェリエイトをしている友人からメールをもらったのですが、

・アフェリエイトの収入は「事業所得」なのか「雑所得」?
との質問でした。

 
まず、なぜ「事業所得」「雑所得」の区分を気にするのか??

「事業所得」に該当すれば、青色申告することにより青色申告特別控除を受けられたり、損失が発生すれば他の所得と通算できますが、
「雑所得」ではこれらの規定を受けることができないからではないでしょうか。
したがって、この区分については裁判でもよく争われています。

では、この「事業所得」と「雑所得」の区分はどうすればよいのでしょう??


インターネット上では、
「税務署に個人事業の開業届を出せば事業所得」
「アフェリイエト以外の仕事がなければ事業所得」

こういった記事をよく見かけます。

ですが、実際はこれにより「事業所得」「雑所得」の区分をするのは危険です。

 この件については、裁判でもたくさん争われていますから、その裁判の内容を確認してみましょう。

【判決例】

(1)会社に勤務しながらコンサルタント業務をしていた例

 コンサルタント業務は、会社の余暇を利用して行われ、当該年中の収入は友人からの報酬1件のみで、特別の人物、物的、設備を有しないことから、将来、事業として営むための先行投資であるとしても、当年中はいまだ事業と認めるに足りる状況まで熟していないので事業所得に該当しない。

(2)会社に勤務しながら公認会計士事務所を開業していた例

 公認会計士の開業登録は行っているものの、会社勤務の余暇を利用して顧客の勧誘をしたのは数社であり、それも単なる勧誘で、固定的な顧客の獲得はなく、契約の締結にいたったもの及び収入金額が皆無であるから、事業所得とは認められない。

(3)株の売買をしていた例

 本件株取引に係る、売買回数、売買株数から当該株の売買は営利性、継続性が認められるが、本件株取引に関する従事の程度、人的、物的設備の設置状況、資金の調達方法に照らすと、事業には該当しない。



整理してみると

①仕事への従事の程度(ある程度の従事時間が必要)
②収入の規模(生活費をまかなえる程度の収入)
③従業員や設備の有無(社会的客観性)

④社会通念上の判断

この辺りがポイントとなりそうですね。
では、具体的な判断の方法を見てみます。
【判断基準】

①営利性有償性の有無
 利益を目的とし、仕事の対価としてお金を貰っているか

②継続性
 現在から将来にかけて反復継続的に繰り返されているか

③自己の危険と計算における企画遂行性の有無
 事業上のトラブルの責任は事業主にあるか、株の売買などの場合は売買する株を自分で判断しているか

④精神的あるいは肉体的労力の程度
 会社に勤めながら、余暇で少しだけしている程度でないか

⑤人的、物的設備の有無
 従業員がいるか、事業をする設備があるか

⑥社会的な地位 
 事業主として周りから認知されているか

⑦生活状況
 その仕事で生活費できているか

これらを総合して、「事業所得」か「雑所得」か判断します


以下は、私見ですが、

アフェリエイターに当てはめた場合、
最低でも、
毎月ある程度(10万円程度)の収入
②余暇を使ってしているものでない
③現在及び将来にむけて、アフェリエイトを継続して行う場合に事業所得と判断することになると思います。

ただし、余暇を利用していたとしても、
継続的に多額の収入がある場合
②従業員がいる場合
③いくつものサイトを持っていて、かなりの労力を費やしている場合
このような場合には事業所得となるでしょう。


あくまでも私見です。税務署の担当者によっても判断が分かれると思います。