夜早く寝過ぎて、こんな時間にblog更新のabeisaです。
労災のお話の続きです。
「通勤に該当するのか?しないのか?」
例えば、
〇 終業後の社内サークル活動後、帰宅途中のケガ
〇 会社行事の飲み会の後、帰宅途中のケガ
などです。
この場合、終業後すぐに帰宅していない状況です が、
会社関係の行事なので通勤として認められそうな気 がしますが、
どうなのでしょうか。
これに関連する裁判があります。
<米沢労基署長(通勤災害)事件 東京地裁 平成 22年10月>
〇 新入社員が会社の従業員会主催のバドミントン 大会に参加
〇 終了後、同僚の運転する自動車に同乗して帰宅
〇 途中、交通事故に遭いケガをした
〇 このケガにつき、新入社員が通勤災害として労 基署に療養給付の請求
〇 労基署は支給しないことを決定
〇 この処分の取消を求めて裁判所に訴えた
この裁判の争点は「バトミントン大会が業務か否 か」ということでした。
そして、裁判所の判断は以下となりました。
〇 バトミントン大会は各部署対抗だが、会社は運 営にかかわっていない
〇 参加については任意であり、全社員の2割程度 しか参加していない
〇 就業時間外に開催され、時間外手当等の対象と なっていない
〇 参加者の管理等がなされていない
〇 参加を上司等から命じられていない
○ 大会は業務外であり、その後の移動は通勤災害 ではない
さらに、業務か否かの判断に関して、
会社行事の競技会等に関する通達があります。
そこには
〇 社員全員の参加を意図としている
〇 当日は勤務日としている
〇 不参加の場合は欠勤等の取り扱い
であれば、業務とみなすのです。
そして、この定義は忘年会等の会社の飲み会等にも 応用されます。
だから、「会社行事としての」飲み会後の事故には
労災の適用はあるのです。
この裁判から学ぶべきことは
〇 従業員主催のイベント
〇 任意参加
という場合は労災は認められ「にくい」ということ です。
それから、会社からの業務命令等があった場合は
当然に業務となり、その往復での事故は労災の対象 になります。
例えば、会社主催のゴルフコンペで
会場設営、受付、案内等を担当する場合は業務にな ります。
だから、これらの担当者の設営中のケガ、往復途中 の事故などは
労災の対象になります。
しかし、プレーヤーは「親睦」という目的なので、
「業務」ではないと考えられます。
だから、その往復途中での事故にも労災は適用され ません。
このように会社行事「的」なものであっても、
その状況により、労災の対象になる場合、ならない 場合が違ってきます。
ただし、100%の明確な基準がある訳ではないの で、
判断が難しい場合もありますね。